観劇した。自分としてはなかなか珍しいことだ。お金も時間もかかる。作品は「海辺のカフカ」だ。もう亡くなられた蜷川幸雄演出の芝居を一度は観たかったのである。
原作は読んでいない。
この世とあの世、現代と戦時中、東京と地方を行き来する物語と世界観が蜷川幸雄氏の演出と舞台美術で繊細に表現されていて印象的だった。舞台上の仕掛けによって、舞台上にない別の風景が見えているように思える瞬間がある。他の世界に誘われる魔法をかけられたような、余韻を残す贅沢な時間だった。主演の寺島しのぶの存在感も麗しいものだった。携帯をしっかり切って三時間をある世界観に浸って過ごすということも良かったのだと思う。気になるものがあればまた他の作品も観てみたい。