「トンネルを抜けると、そこは雪国だった」。あまりにも有名な冒頭のフレーズ。国語の教科書でそのフレーズだけは知っていたがついぞ読むことがなかった。最近、何かの雑誌か書籍か忘れたがこの有名なフレーズに続く文章がまた美しいと語っていたのをたまたま目にして、読んでみようと図書館に足を運んだ。果たして読み始めるとかなり昔に書かれていたものなのに、全く読みづらいことはなく、日本語の表し方は非常に美しく、艶やかで映像を観るかのように視覚的に身体に染み渡るのであった。「雪国」の満足度が高かったので続けて、「伊豆の踊り娘」も読んだ。作品全体が奏でるその艶っぽさは「雪国」がより、鮮やかだった。文芸作品を堪能できるきっかけをつくってくれたあの日の雑誌記事あるいは書籍に、感謝している。